この記事でわかること
- 判定で見られている3つのポイント(作業量・誤答・作業曲線)
- 作業曲線がどう描かれ、初頭努力や休憩効果として何が読み取られるのか
- 定型と非定型の関係、そして「非定型=異常」ではない理由
- 判定を誰がどのように行い、結果がいつ・どこに届くのか
- 提供元が曲線を意図的に作る行為を勧めていない理由
- 結果が振るわなかったときの受け止め方
著者:テストビズ運営事務局
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最終更新日:2026年9月8日
内田クレペリン検査を受けたあと、あの折れ線グラフが何を意味するのか気になった方は多いはずです。
先に結論を書きます。
判定は、作業量・誤答・作業曲線の3点を総合して行われ、健常者のデータをもとに作られた「定型」と比べる形で進みます。
そして判定には専門的な知識が必要で、受検者本人が自分で読み解いたり採点したりできるものではありません。
この記事では、提供元である株式会社日本・精神技術研究所(日精研)が公開している情報をもとに、判定の仕組みを整理します。
なお、この記事は検査の仕組みを解説するものであり、個人の人格や健康状態を評価するものではありません。
検査の結果は医学的な診断でもありません。
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内田クレペリン検査の判定は何を見ている?
提供元は判定のポイントとして、作業量・誤答・作業曲線の3つを挙げています。この3点を総合して、受検者の日ごろの「働きぶり」のパターンを予測する検査です。
まず前提を確認しておきます。
内田クレペリン検査は一桁の足し算を使いますが、提供元は数学の能力を測る検査ではないと明言しています。
足し算が選ばれた理由は、誰にとってもちょうどよい単純さだからです。
心身に重すぎず軽すぎない負荷をかけることで、反応のパターンを見るという設計です。
判定の3つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 作業量 | 足し算をどれだけこなせたか。処理のスピードを表す |
| 誤答 | 答えの間違いが、どのタイミングでどのように出ているか |
| 作業曲線 | 作業中のパフォーマンスの変化を記録した折れ線グラフ |
検索するとよく目にする赤い折れ線グラフが、3つめの作業曲線です。
ただし、判定はこのグラフだけで行われるわけではありません。
作業量と誤答を合わせた3点の総合判定である、という点は押さえておいてください。
能力面と性格・行動面の2つを測る
提供元によれば、この検査は2つの側面をまとめて測定できる点に特徴があります。
- 能力面の特徴:与えられた作業をどれだけ早く、効率よくこなせるか。知能との相関も高いとされる
- 性格・行動面の特徴:その能力を発揮するときの現れ方。発動性・可変性・亢進性という3つの要素から捉える
通常、知能と性格を測るには2種類以上の検査が必要になります。
1つの検査で両方を扱える点が、この検査が長く使われてきた理由の一つです。
作業曲線とは何を表すグラフ?
1分ごとの計算量を折れ線でつないだグラフです。前半15分と後半15分の計30分を、休憩をはさんで実施し、その推移から作業中の心の動きを読み取ります。
作業曲線を理解するには、まず検査の進行を知る必要があります。
検査の進行
- 簡単な一桁の足し算を、1分ごとに行を変えながら行う
- 前半15分を実施し、休憩をはさむ
- 後半15分を実施する(合計30分)
- 1分ごとの到達点を結んだ折れ線が作業曲線になる
提供元は、この検査がWebテストでは実施できないと説明しています。
身体的なストレスを含めた作業負荷をかけることが前提の検査で、紙と鉛筆を使うのはIT化が遅れているからではない、という趣旨です。
なお、遠方の受検者向けに自宅などで受検できるサービスは用意されています。
曲線から読み取られる代表的な現象
| 現象 | 曲線に現れる形 | 読み取られること |
|---|---|---|
| 初頭努力 | 最初の1分の作業量が高い | 作業に臨むときの意気込み |
| 慣れ・練習の効果 | 中盤にかけて作業量が持ち直す | 作業への順応 |
| 疲労 | 進行につれて作業量が下がる | 負荷への耐性 |
| 休憩効果 | 後半の立ち上がりが前半末より高い | 回復力。休憩後に立て直せるか |
| 終末努力 | 最後の1分で作業量が上がる | 終わりが見えたときの持ち直し |
休憩効果は特に注目される要素です。
前半で下がった作業量が、休憩をはさんだ後半の入りでどこまで戻るか。
ここに、負荷がかかった後の回復のパターンが現れると考えられています。
定型と非定型の違いは何ですか?
定型とは、健常者のデータをもとに作られた基準となる曲線のことです。判定では受検者の曲線を定型と比較し、定型から非定型までを軸とした類型に分類していきます。
ここが最も誤解されやすい部分なので、慎重に説明します。
定型曲線という考え方
定型曲線は、多数の健常者のデータから導かれた標準的なパターンです。
判定はこの定型と受検者の曲線を比較する形で進みます。
提供元が実施している判定技術の講座では、検査結果を定型から非定型を軸とした24個の符号に分類する技術を扱うと案内されています。
- 判定は「定型か非定型か」の二択ではない
- 定型から非定型までを軸とした、24の類型に分類される
- どの符号に該当するかを見極めるには、専門的な訓練が必要
つまり、自分の曲線を見て「定型っぽい」「非定型かもしれない」と判断することには、あまり意味がありません。
「非定型=異常」ではない
インターネット上には、非定型を病気や異常と結びつける記述が見られます。
これは正確ではありません。
- 定型はあくまで統計的な基準であり、そこからの距離を見る枠組みである
- 24の類型は、優劣を並べたランキングではない
- 提供元は、要素の高低が人格的な優劣を測るものではないと説明している
- 判定は専門の訓練を受けた判定者が行うものであり、医学的な診断ではない
作業曲線の形は、その日の体調や睡眠、緊張の度合いによっても変化します。
一度の結果が、その人の恒久的な特性を確定させるものではありません。
判定は誰がどうやって行う?結果はいつ届く?
採点と判定には専門的な知識が必要で、提供元は判定技術の講座と認定制度を設けています。採用選考で受けた場合、結果は企業に届き、受検者本人には返却されません。
「結果の出し方」を検索する方が多い項目ですが、自分で採点する仕組みにはなっていません。
判定に専門性が必要な理由
提供元は、内田クレペリン検査の判定技術について、法人向けの集合講座とeラーニング講座を用意しています。
基礎的な判定方法である曲線類型判定を学び、認定試験も設けられている構成です。
臨床現場で活用する専門家向けの個人受講枠もあります。
- 曲線の形だけでなく、作業量と誤答を合わせて総合的に読む必要がある
- 24の符号への分類には訓練を要する
- 市販の解説を読んだだけで自己判定できる性質のものではない
結果の受け取り方
| 受検した経緯 | 結果の扱い |
|---|---|
| 企業の採用選考 | 結果は企業に届く。受検者本人への返却は原則ない |
| 資格試験・免許関連 | 実施主体の運用による |
| 自分の関心で受けたい場合 | 提供元がカウンセリングと組み合わせたサービスを用意している |
自分の結果を知りたい場合、採用選考の受検分を開示してもらうのではなく、提供元が個人向けに提供しているサービスを利用する方法があります。
判定結果を一方的に返すのではなく、訓練を受けた専門家が結果を踏まえて自己理解やキャリア選択を支援する形だと案内されています。
理想の曲線や合格ラインはあるのか?
提供元は、曲線の形を意図的に作ろうとする行為を勧めていません。不自然な結果につながり、多くの場合、普通に受検したときよりマイナスに働くと明言しています。
ここは、この記事で最も伝えたい部分です。
提供元が攻略を勧めない理由
日精研は受検者向けのページで、攻略的な受検態度を推奨しないと明確に書いています。
理由として挙げられているのは次の2点です。
- 作業曲線の形を操作的に作ろうとする行為:不自然な検査結果につながり、多くの場合、普通に受検したときよりもマイナスに影響する
- 作業量を増やそうと事前に何度も練習する行為:これもマイナスの影響が出てくる
理想の形を狙って途中でペースを調整すると、判定者から見て不自然な曲線になります。
そして判定は曲線だけでなく誤答も見ています。
ペースを意識しながら正確さを保つのは、実際にはかなり難しいことです。
提供元が示す2つのアドバイス
代わりに提供元が挙げているのは、次の2点です。
| アドバイス | 具体的な内容 |
|---|---|
| コンディションを整える | 前日に十分な睡眠をとり、疲労を残さない。受検時は構えすぎずリラックスする |
| リソースを配分する | 攻略に使う時間とエネルギーを、他の試験や面接の練習に充てる |
2つめは特に現実的な指摘です。
勉強した分だけ身につく種類の試験は他にあります。
限られた時間をどこに使うかという配分の問題として捉えた方が、就職活動全体では有利に働きます。
なお、検査の形式に慣れておくこと自体は否定されていません。
何度も反復して作業量を上げようとする練習と、どんな検査かを1回試して当日の流れを把握することは別の話です。
形式の確認については「内田クレペリン検査の練習方法とやり方」(No.122)で扱っています。
運営事務局が見てきた実例|ペースを作ろうとして崩れたケース
相談セッションで実際に扱った事例です(個人と企業が特定されない形に加工しています)。
「理想の曲線を作る」という情報を読み、前半をあえて抑えて後半で上げる進め方を試したという方から相談を受けたことがあります。
結果として、ペースの管理に意識が向いた分、計算そのものへの集中が落ち、誤答が増えたという実感が残ったそうです。
本人も受検後に「何をしていたのか分からなくなった」と話していました。
この検査は30分間の連続作業です。
2つのことを同時に管理し続けるのは、想像以上に負荷がかかります。
次に受ける機会があったときには、ペース配分を考えず目の前の計算だけに集中するよう提案しました。
公開されている情報を踏まえても、これが最も無理のない受け方です。
結果が振るわなかったと感じたときは
提供元は、この検査が受検者の人格や存在を否定するものではないと明記しています。組織が求めた特徴と、検査で光を当てられた一部分がズレていただけ、という説明です。
内田クレペリン検査は結果が本人に返らないため、手応えだけが残ります。
それが不安につながりやすい検査でもあります。
押さえておきたい前提
- 合格ラインは公表されていない。判断基準は企業や組織ごとに異なる
- 求める人物像が違えば、同じ結果でも評価は変わる
- 検査が見ているのは、あなたのごく限られた側面である
- 曲線の形は体調や睡眠、緊張の度合いによっても動く
提供元自身が、検査結果を過信せず自分自身の長所を見つけてほしい、という趣旨のメッセージを受検者向けページに載せています。
検査を作っている側がこう書いていることの意味は、受け取っておいてよいと思います。
適性検査全般で「落ちる」ことへの不安については「適性検査の性格診断で落ちる?」(No.133)でも扱っています。
検査そのものの全体像は「内田クレペリン検査とは?判定・作業曲線の見方と何がわかるか」(No.121)に、Webテスト全般の準備は「Webテスト対策の完全ガイド」(No.1)にまとめています。
よくある質問(FAQ)
内田クレペリン検査の判定基準を教えてください
公開されているのは、判定が作業量・誤答・作業曲線の3点を総合して行われるという枠組みまでです。
具体的な合格ラインや点数の基準は公表されていません。
判定では、健常者のデータをもとに作られた定型曲線と受検者の曲線を比較し、定型から非定型を軸とした24個の符号に分類していきます。
この分類には専門的な訓練が必要で、提供元は判定技術の講座と認定制度を設けています。
そして、その判定結果をどう扱うかは実施する企業や組織ごとに異なります。
つまり、受検者側から「何点取れば通過」と逆算できる構造の検査ではありません。
定型と非定型はどちらが良いのですか?
良し悪しを表すものではありません。
定型は多数の健常者のデータから導かれた統計的な基準であり、そこからの距離を見る枠組みです。
判定は定型と非定型の二択ではなく、その間を含めた24の類型に分類されます。
インターネット上には非定型を病気や異常と結びつける記述が見られますが、これは正確な理解ではありません。
提供元も、要素の高低が人格的な優劣を測るものではないと説明しています。
また、作業曲線の形は当日の体調や睡眠、緊張の度合いによっても変化するため、一度の結果が特性を確定させるものでもありません。
休憩効果とは何ですか?
前半の作業で下がったパフォーマンスが、休憩をはさんだ後半の入りでどこまで回復するかを見る要素です。
内田クレペリン検査は前半15分と後半15分を休憩をはさんで実施するため、後半の立ち上がりが前半の終わりと比べてどうなっているかが曲線に現れます。
ここから、負荷がかかった後の回復のパターンが読み取られると考えられています。
ただし、この要素だけで判定が決まるわけではありません。
初頭努力や終末努力、全体の作業量、誤答の出方といった要素と合わせて総合的に判定されます。
一部分だけを取り出して自己判断するのは避けてください。
結果はいつ、どうやって受け取れますか?
採用選考で受検した場合、結果は実施した企業に届き、受検者本人には原則として返却されません。
採点と判定には専門的な知識が必要で、受検者が自分で採点する仕組みにもなっていません。
自分の結果を知りたい場合は、提供元が個人向けに用意しているカウンセリング付きのサービスを利用する方法があります。
これは判定結果を一方的に返すものではなく、訓練を受けた専門家が結果を踏まえて自己理解やキャリア選択を支援する形式だと案内されています。
就職活動中に自分の傾向を知りたいという目的であれば、この選択肢を検討する価値はあります。
理想的な作業曲線を作る方法はありますか?
提供元は、曲線の形を意図的に作ろうとする行為を勧めていません。
不自然な検査結果につながり、多くの場合は普通に受検したときよりもマイナスに影響すると明言されています。
また、作業量を増やそうとして事前に何度も練習を重ねる行為についても、マイナスの影響が出ると説明されています。
実務的に見ても、ペース配分を管理しながら計算の正確さを保つのは難しく、誤答が増える原因になります。
判定は曲線だけでなく誤答も見ているため、形を整えようとして正確さを落とすのは逆効果です。
提供元が示すアドバイスは、前日に十分な睡眠をとってコンディションを整えることと、その時間を他の試験や面接の準備に充てることの2点です。
練習しておいた方がいいですか?
作業量を増やす目的で反復練習を重ねることは、提供元が明確に勧めていません。
一方で、どんな検査なのかを一度も知らないまま当日を迎えると、進め方に戸惑って本来の力が出にくくなります。
1分ごとに行を変えるという進行や、30分間の連続作業であることを事前に知っておく程度の確認は、無理のない準備です。
つまり、形式を把握することと、成績を上げようと反復することは別物として考えてください。
当日に向けてできる最も効果的な準備は、睡眠を確保して疲労を残さないことです。
これは提供元自身がアドバイスとして挙げている内容でもあります。
誤答が多いと落ちますか?
誤答は判定の3つのポイントの一つですが、それだけで合否が決まるわけではありません。
判定は作業量・誤答・作業曲線を総合して行われます。
また、誤答が「どのタイミングで、どのように出ているか」も見られる要素です。
全体に散らばっているのか、特定の局面に集中しているのかで、読み取られる内容は変わります。
30分間の連続作業なので、誤答がまったくない受検者の方が例外的です。
気にしすぎるより、次の選考の準備に時間を使う方が建設的です。
Webやパソコンで受けることはありますか?
提供元は、内田クレペリン検査はWebテストでは実施できないと明言しています。
理由は、この検査が身体的なストレスを含めた作業負荷をかけることを前提にしているためです。
紙と鉛筆を使うのは、IT化が遅れているからではないという説明がされています。
ただし、遠方に住む受検者が自宅などで受検できるサービスは用意されています。
これは検査用紙を使う形式を維持したうえでの遠隔受検の仕組みです。
選考でパソコン画面上の計算テストを受けた場合、それは内田クレペリン検査ではなく別の適性検査である可能性が高いといえます。
まとめ
内田クレペリン検査の判定について、押さえておきたい点を整理します。
- 判定は作業量・誤答・作業曲線の3点を総合して行われる
- 一桁の足し算を使うが、数学の能力を測る検査ではない
- 前半15分と後半15分を休憩をはさんで実施し、1分ごとの作業量を結んだ折れ線が作業曲線になる
- 定型は健常者のデータから作られた基準曲線で、判定は定型から非定型を軸とした24の符号に分類される
- 「非定型=異常」ではない。判定は医学的診断ではなく、優劣のランキングでもない
- 採点・判定には専門的な訓練が必要で、受検者が自己判定できるものではない
- 提供元は曲線を意図的に作る行為を勧めておらず、マイナスに働くと明言している
- 推奨されているのは、コンディションを整えることと、時間を他の準備に充てること
この検査に関しては、提供元自身が受検者向けに率直な情報を公開しています。
形を作ろうとするより、前日によく眠って、目の前の計算に集中する。
公開されている情報を踏まえる限り、それが最も無理がなく、結果的にも良い受け方です。
Test-Biz
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